最後は地味なやつ
前回は酸熱トリートメントが如何に重要かを記載しました。
https://rulestype.law.blog/2020/08/12/acid-heat/
レベル1で必要なアイテムとしては今回のものを最後にしようと思います。
それは酸リンスです。
空前の酸ブームだからじゃない
これまで紹介したCMCを補うトリートメント、ホームケア、酸熱処理剤と比べると「えっ?」となると思います。
でも敢えて酸リンスを推します。
先日紹介した酸熱処理が出来るグリオキシル酸や、カラーとの相性が良いとされているジカルボン酸など近年は酸性成分の紹介が多くされているが、今回、特殊な酸の紹介をするわけではない。
一般的な酸リンスとして存在しているのはクエン酸のタイプだと思いますが、乳酸、リンゴ酸など様々な種類があります。
そんな酸リンスの使用方法はパーマ後の2剤前に適当にかけるものという認識をしている人が残念ながら多いと思います。
一応それも使い方の一つとして挙げておいたとして、酸リンスがなぜ必要なのかを考えましょう。
それを考えるために必要な知識の1つとして髪の毛の等電点はph4.5〜5.5と酸性領域です。
そしてもう一つ、一般的なカラー、パーマは化学処理といって髪の毛がアルカリ側に傾く施術を使用します。
そのため化学処理を行えばphが9.0〜10.0程度まで上がります。
そのまま適切な処置をしない場合はphが勝手に下がることはありません。
何度も言いますが髪の毛は死んだ細胞なので細胞自体に元に戻す力はありません。
だから化学処理後にpHを等電点に戻そうと思うと酸リンスが必要になります。
メーカーによって様々ではありますが使い方としては濃いものをかけるよりも薄めたものゆっくりと染み込ませる方が効果があります。
後処理が不十分でph8.0以上のままだとホームケアで頑張ってもph8.0を下回る事がないというデータもあります。
その判断を細かく行おうと思うと髪の毛に水を吸わせ絞った水をph測定器で測ることです。最低でもph7.0台にしましょう。

等電点に近ければ近いほど髪の毛は強くなりカラーやパーマの持続も良くなります。
地味だけど髪の毛をしっかりさせる力が強く内部成分を安定させ、定着させる力も強いです。
助演俳優賞
映画などで言えば主役にはなれない酸リンスですが、出来栄えを左右する名脇役です。
地味ですがヘアマップの理論で考えれば酸リンスは欠かせません。
酸熱トリートメントの話をしているのでグリオキシル酸でも良いのではと自分も思いました。
しかしグリオキシル酸を酸リンスとして使用すると質感があまり良くないという声をよく聞きます。
同じ酸でも得手、不得手はあるようです。
正直に言えば、どの酸が適しているかは分かりません。

1種類が良いのか複合させる方が良いのか。
どれが一番かは分かりませんが化学処理後は酸処理をした方が良いという事は事実です。
美容室からお客様が帰る際には等電点に戻す事を意識して後処理をしましょう。