美容の変態と言われた人
その人との関りは先代社長が担当先を持ってバリバリ動いていた時からの付き合いでした。
自分が入社する10年以上前の話です。
その当時、先代社長と『その人』は直接話をすることは少なかった。ある会社のNo.2だった『その人』は、トップを差し置いて、先代社長と話す事は良くないと思っていたらしい。それでも強烈なキャラクターで、しっかりと記憶に残っていると先代社長は話していた。
あの人は美容の変態だよ。

それが先代社長から教えてもらった『その人』のイメージだった。
ある会社で結果を出していた『その人』の話を先代社長から聞けば聞くほど会いたくて仕方なかった。
話を聞かせて頂いた時には退社していて、様々なしがらみがあり、話を聞く機会は当時は無かった。
それでも先代社長から聞き出せる話は同じ話でも何度でも教えてもらった。
勝手に師匠と思っている
名前を聞いてから数年経ったある日、『その人』から先代社長宛に電話が鳴った。
『その人』は当時のトップに気を遣って電話をするのも避けていたらしいが、周りにいた人から背中を押されて電話を掛けてくれた。
先代社長は電話越し嬉しさを爆発させていたが、密かに自分も会って話せるかも!と喜んでいた。
その後、会う機会を作ってもらい、話をさせてもらったが、レヴェルが違い過ぎて話についていけなかった。
商品を判断する感覚が鋭すぎる事、考え方が美容師よりなのにメーカーの事も考えている事、商品開発の発想が今まで聞いた話とは次元が違うぐらいに感じる事など。
ドラクエで言えば序盤にキラーマシーンに会い、呆然とする感覚だった。

会って少し経ってから一緒に行動することがあり、ゆっくりと話す機会があった。
最高のシャンプーとは何か?美容業に必要なものは何か?と質問攻めで答えても答えても面白くない。と言われました。
それが悔しくてヘアマップを教えてもらったり、講習に参加したり、会社勤めしていた時に何をしていたのかなど逆に質問攻めにしたり、『その人』の思考を知りたくて徹底的に調べさせてもらいました。
『その人』の思考をしれば知るほど、仕事が楽しくなり、いつからか師匠と心の中で呼ぶようになっていた。
師匠考案のイベントを師匠以外成功した人がいないというので、勢いで成功したら2番目ですね?と言ってしまい、やってみろ。と笑いながらプレッシャーをかけられた。
言った手前、絶対に成功させてやろうと、あるお客さんに死ぬ気でイベントをやって数値を叩き出した。
ようやく師匠が認めてくれた瞬間だった。
正直、認められた嬉しさよりも同等に話が出来るレベルになれたという嬉しさが強かった。
認めてもらった後、打ち合わせは言われる一方ではなく、ディベートに変わった。
その時にようやく師匠は何が起きても常に楽しんでいる事に気付いた。
そして自分も同じようになっていたので、あの人と会話できる自分は頭がおかしいと先代社長には言われ、変態まで行かなかったがオタクの称号は得た。

美容業界の発展を考えられる人
美容業界で働くうえで、この方に会って、話が出来たのは本当に運が良かった。
実は一度、生きるか死ぬかの状態になっていた事がある師匠だが、奇跡的に一命をとりとめ生きている。
師匠は自分は運が良かった。生かされたんだ。だから美容業界で働けという事だと思うと笑いながら言い死にかけた人には見えないぐらい明るかった。
そして本当に生かされたのかと思うぐらい還暦を迎えても革新的なブレイク商品を新たに作り育てた。
それが出来るのは美容業界に対してブレない考えと明るさがあるからだと思っている。
出会う前の話、出会ってから、今でも変わらず、ブレずに美容室の単価を上げる話をしている。
相手を儲けさせることで自分が儲ける。それを言葉だけではなく、アイデアを提供し、技術を見せ、実行させる。美容室に徹底させて結果を出している人を師匠以外に見た事がない。
探せばいるかもしれないが、この人以外に同じような人に会う事は2度とないかもしれない。だから元気でいる間に吸収できるものは吸収させてもらいますね。と言ったら笑っていた。
